景気も上昇し、産業界も活気を取り戻しました。もちろん、不愉快な話も続きましたが、有効求人倍率が1.10倍になりました。1992(平成4)年に1.04倍に落ちてから、一時は0.5倍近くを低迷しておりましたが、14年ぶりの回復です。何よりも嬉しかったのは、若者に笑顔が戻ってきたことです。2005年末、奥田碩経団連会長(トヨタ自動車株式会社取締役会長)は、このような繁栄は終身雇用制に基盤をおいた日本式経営にあったことを述べておりましたが、わが国民の質の高さによることは確かであります。その間のハローワーク、ポリテクセンター等のご努力にも感謝したいと思います。
もちろん、問題は残しております。青森、高知、沖縄等の各県の有効求人倍率は0.5倍以下に留まっております。地元に自動車、電子・機械等の基幹産業が少なく、また距離の上でもかけ離れており、技術の集積が難しく、加工組立産業のベースとなる一次、二次、三次の下請けのネットワークの形成が進み難かった点もあります。各県において地域に根ざし、「技術と人材をセットにして創る」ことを目的として職業能力開発大学校や産業技術短期大学校等を設立している理由もここにあります。地域には風土に根付いた潜在的な魅力があります。これをeducate、引き出すのがcommunity
collegeの教育でしょう。会員が相互の連携を密にし、「智慧と情報を交換するための広場を開く」これが実践教育訓練研究協会の勤めだと思います。
また、有効求人倍率が2.00倍を超える地域でも正社員のポジションを得ることは難しいことも聞かれます。世界規模のコングロマリットが出現し、生産基地が海外に移りつつあります。国際間の競争がますます激しくなりました。しかし、このような国際化がサブミクロンの加工、ナノオーダーの精緻な技術など固有技術を保有する日本の企業をクローズアップさせております。情報化の時代です。企業や個人の能力が正当に評価されます。人材の育成こそ競争力であります。我々はそれぞれの機関において 実践教育を標榜し、独自のカリキュラムを創出しつつ、「ものづくり」に存在理由を確立してまいりました。産業は「人材によって支えられる時代」になりました。しかし、問題はあります。 18才人口が激減する中で、高度の能力の開発を目的とするシステムをいかに継続するかであります。一の解はわれわれの学生に、「自信」と「喜び」ともに「いかに誇りを与えることができるか」であります。存在理由だけでは林立する大学の影に埋没してしまいます。見える大学とは何か?「存在感の確立」であります。そのための努力は教官にも求められます。多くの卒業生が海外で活躍しております。次のステップでは「ものづくり」の学習と成果と実績を明確にする手段(評価と保証)を創設することであります。
積年の宿題でもあります。皆様からのご助言とご協力をお願いします。今後の発展を期し、会員の増強も必要であります。格段のご協力をお願い致します。
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