●3● JISSEN NEWS 2006.冬 No.150

オルガン針株式会社 企業見学と講演
 2005年9月30日に行われた機械系企画の企業見学(オルガン針株式会社:技術開発センターおよび西塩田工場)には、当日の飛び入り参加を含め36人が参加する盛況なものになりました。
 オルガン針株式会社は、1920年東京で蓄音機針のメーカーとして創業し、太平洋戦争の勃発とともに疎開のための候補地を探すことになり、上田を訪れたとき、鉄道のレールが全く錆びていないことに気づき(針の製造には乾燥した気候が適している)信州上田に本拠地を移したそうです。
創業以来、ミシン針、メリヤス針、フェルト針を製造・販売しています。これらの針を扱っている会社は、世界でも数社しかありません。身の回りにある多くの繊維製品は、この3種類の針を使って造られています。ミシン針の分野では、国内シェア80%と圧倒的な強さを持ち、世界シェア15%を保持するトップメーカーです。
技術開発センターでは、設計からNC加工、熱処理に至るまで、一貫した開発体制のもとで生み出された独自の高精度治工具等を見学しました。
 また、西塩田工場の製造ラインでは、鉄という素材を鍛え、超精密加工を施していく技術、最後には人による目視での検査を行っていたところなどを見学しました。まさに小さな日本刀を作っているようで前日の特別講演(日本刀からみた伝承技能)と重なり印象に残りました。
 今回の見学では、針は一見シンプルに見えますが、数多くのノウハウが詰まっていて複雑な技術の集合体であることに驚かされ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
                           ( 港湾職業能力開発短期大学校神戸校 小田切 稔 )