龍の足の爪は「中国は5本、韓国は4本、日本は3本」
社団法人 実践教育訓練研究協会
会長 清水 二郎 |
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21世紀に入り、すでに7年を経過しました。情報化への転換の波からも脱却し、わが国の産業の足並みも漸く世界に歩調を合わせられるまでに回復してまいりました。学会にも幾多の課題がありましたが、学会活動、そのものは、昨年の秋の総会(東北能力開発大学校)に見られるように、発表件数、参加者も増加する等、明るい話題に支えられ、理事、および事務担当の方々の努力にも期待できるものがあります。学会員の皆様には、昨年にも増してご活躍とご協力をお願い致します。
さて、折角の機会でもあります。最近のグローバル化について、気になる点がありましたので、お話いたします。アパレル関係の若い人の技術者から「最近、中国が日本からの注文を受けるのを嫌うようになった」と聞きました。「ロットが小さいのに、口うるさい」と云うことでした。このことからグローバル化の戦略を見直す時機を悟りました。キーワードは、GDP(国力)、GDP/人(豊かさ)です。そして生産力と技術力との違いです。生産力が上がると前者が上がります。技術力が上がると後者が上がります。日本も最初は国力を上げるために、生産の増強に努めました。しかし豊かな日本を目指して、ロボット化を進め、現在の米国に並ぶ、豊かな国、技術大国になりました。
中国は、米国に並ぶ大国、人口は10倍以上、そしてGDPでは、この5年間に7位から米国に次ぐ世界第2位の国に急成長を遂げました。自動車の販売台数714万台、日本の574万台を抜いて、世界の第2位になりました。エアコン、オートバイの約50%、TV、洗濯機、冷蔵庫も世界のトップシェアにあります。
日本は豊かさ(GDP/人)で世界を見てきましたが、生産力で中国、インド等の周りの諸国を見ることが必要でしょう。
中国、インドも大学の進学率は7〜10%に過ぎません。しかし人数(グロス)では日本を凌駕します。しかも真剣に勉強します。そして豊かさ、高い教養もあることを忘れては居ないでしょうか?キーワードを見直し、生産基地そしてでは無く、日本の良いものを売る。欧米よりも広い市場があることも事実です。
鎌倉の建長寺の金堂の修理に際し、天井の龍の足の爪の数を「3本から5本に改めた」とありました。本来は「中国は5本、韓国は4本、日本は3本」、これが千年の文化格差でした。このポテンシャルの壁を乗り越えるに技術力だけでは解決できないものもあります。リベラルアートを軽視しては通れない壁もあります。これについては次の機会にいたします。
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