岩手県立高度技術専門学院千厩自動車システム校 三浦公嗣 |
9月26日の午前中には同じ工業団地内にある鰹ャ松製作所小山工場の見学が企画され、当初見込みの倍の40人ほどが参加する盛況となりました。
小山工場は、敷地面積598,000u、建物面積189,000u 、従業員1,800人の規模で設備機械用エンジン、産業車両用エンジン、油圧機器を生産しています。
1990年代以降、地球温暖化問題や、ダイオキシン対策、産業廃棄物処理など環境への配慮が注目される中で、小山工場では1997年にISO14001の認証を取得し、その維持活動を進める中で、省エネルギーの推進や産業廃棄物の埋め立て処分および単純焼却処分をゼロレベルにするという「ゼロエミッション」の実現に向けた様々な取り組みが行われてきました。その結果、産業廃棄物量は1990年に11,273トンであったものが2003年には5,600トンにまで減らすことができ、その全量を資源として有効利用する「ゼロエミッション」を達成しています。
今回の見学では、空調システムの変更による省エネルギー事例や廃棄物を再資源化し結果として埋め立て処分や単純焼却処分をゼロにするための様々な取り組みを見学しました。
空調システムは、11kWのエアファンユニット87台で工場内全域に風速3〜10m/sの風を送って冷却する方式から0.5〜0.7kWのファンコイルユニット175台で冷却対象物の近くから風速0.3〜0.8m/sの風を送る方式に変更し、空調にかかる電気代を1/10に削減することができたそうです。しかも、これまで真夏時には30℃以下にならなかった工場内の温度が28℃にまで下げることができ、省エネと同時に作業環境の向上も図ることができ非常に大きな効果を上げることができたそうです。
廃棄物の再資源化にあたっては、多種・多様な廃棄物を78項目に分別し、廃棄時に職員一人ひとりが分別する方法が導入されていましたが、工場や部門ごとに独自のアイデアで効率よく収集できるよう工夫させ、その成果を示すことで全体の効率が上がるよう工夫されていました。 |
コマツ製作所小山工場見学風景
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敷地の一角にはリサイクルセンターを設け、各項目別に置いて良い物と置いてはいけない物を表示するとともに、実物を展示してより分かりやすくしてありました。また、混在物が多く焼却以外処理方法がなかった油泥スラッジは、ガス化溶融炉で全て資源として活用、埋め立て処理されていた廃鋳物砂は、固形化後路盤材やレンガとして活用、真鍮、鉄、アルミの混じった切り粉は、選別機と人手をかけて全て選別することによって再資源化を図るなどの取り組みが行われていました。
こうした取り組みは、従来の単純処分に比べてコスト高になる一面はあるものの、資源の有効利用や環境負荷の低減に寄与することは企業の社会的責任であるという考え方に立って取り組んでいくとともに、現在は企業単位でしかできない廃棄物管理を工業団地内など枠を拡げた管理が可能となるような働きかけを行っていきたいという説明がありました。
今回の見学では、全ての廃棄物を再資源化するという大きな目標に向かっての取り組みを達成する過程での、活動ノウハウに触れることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。 |
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