建築・デザイン系

第2回 RC・S造施工研究部会

足場組立を学ぶ・建設LCAを学ぶ

平成23129()

労働安全衛生法改正ポイントと枠組足場組み立て実習

平成23130日(日)

建設LCA概要と(社)日本建築学会の「建物のLCA指針」について


1. 開催概要

 RC・S造施工研究部会の第2回研究部会を平成23年1月29日と30日の2日間、近畿職業能力開発大学校(大阪市岸和田市)を会場に、1.足場組立を学ぶ と 2.建設LCAを学ぶ の2つのテーマで、近畿を中心に東北から九州まで16名と多くの参加者を集め実施しました。

 


2. 実施内容

2.1 足場組立を学ぶ

 1日目の「足場組立を学ぶ」は、労働安全衛生法の改正により足場の設置基準が厳しくなったことを受け、改正のポイントと足場施工法について、実際に足場組立実習を通して学びました。実施にあたっては、今回も第1回研究部会と同様に(社)大阪府建団連のご協力を戴き、鳶職職長の小堀久志氏を講師としてお迎えし、足場組立時の手順や安全面での留意点を詳細に指導いただきました。

 

 まず足場の設置基準について近畿能開大の古本氏から墜落防止措置などの改正点を説明いただきました。その後、実習場に移動し、枠組足場の組み立て施工実習を4スパン3層の規模で行いました。先行手すりや幅木の設置など基準改正にともなう措置は、指導面にも直接関係することでもあり、今回の実習を通して足場施工の留意点について理解を深めることができました。小堀氏からは実習開始前に足場施工に関する心構え、実習中は作業手順の留意点、そして実習後の総評を通して、いかに安全に足場施工をするかについての指導をいただきました。
古本氏(設置基準の解説)


作業前ミーティング(小堀氏)

 実習では、参加者が設置作業を行ないながら、施工する上での安全のポイントに関し、とりわけ先行手すりの取り付け手順について細かく確認しながら進めていきました。実際に、参加者の多くが実習課題で足場施工を担当されている中で、今回使用した先行手すりの形式は初めての方も多数おられました。


足場施工状況

 また休憩時間には、足場作業の関連知識として、内装工事の安全対策として有効な作業台の製品紹介とデモンストレーションをメーカーから説明していただきました。内装施工の実習課題の安全確保の面からも関連知識を深めることができました。

 設置後の解体も、組み立て時と同様に安全面に配慮しながら行ない、1日目の内容を無事終えました。 


小堀氏による講評
 この足場施工の実習を通し、基準改正などにより新たな対策を講じる場合は、速やかに対応することと、それを教育訓練の場に適切に導入することが重要であることを再認識することができました。
参加者(組立完了時)

2.2 建設LCAを学ぶ

 2日目の「建設LCAを学ぶ」は、近年の地球温暖化や資源消費など環境をとりまく課題解決が望まれる中で、建築物の環境面での評価手法について学ぶものです。講師に(株)清水建設技術研究所研究員で、日本建築学会の地球環境委員会/LCA指針小委員会委員でもある 鈴木道哉氏をお招きし、LCAの概要や「建物のLCA指針」(日本建築学会編)の利用方法についての講義をいただきました。
参加者(建物のLCA)
 建物のLCA指針は、評価の指標がライフサイクルでの資源循環性への取組みも評価対象とするなど幾度かの改訂を経ています。鈴木氏からは、LCAができた背景や建築へのLCAの適用、またLCAツールを用いた評価の手順について細かく解説をいただきました。現在の指針は2006年に改訂された第3版が用いられている中で、当初から建築学会でLCA指針に関わっておられ、わかりやすくご説明いただいたことから、LCAに関する知識を深めることができました。
鈴木氏
 引き続きRC・S造研究部会の杉本氏より、昨年度から当専門部会で受託研究として取り組んでいる、在来木造住宅におけるLCA評価についての経過報告がありました。これは自然素材である土壁の建物への使用をLCAの観点から評価するものです。


杉本氏

 

 今回学んだ内容を実際に応用できるという点からも、この建物のLCAに関する学習はたいへん有意義なものでした。また、環境問題をキーワードに、能力開発施設の授業において、環境配慮設計や資源リサイクルなどを意識することが求められています。この点からも今回学んだ内容は、今後の授業展開にも活かすことができると考えています。


講習状況

 以上、2日間にわたる研究部会を充実した内容で無事終えることができました。事前の準備から当日運営までたいへんご尽力をいただきました近畿能開大の職員の皆様に心から感謝申し上げ、第2回研究部会の報告といたします。

(滋賀能開短大/杉本、九州能開大/磯野)


 

▲ このページのTOPへ