建築・デザイン系

第1回 RC・S造施工研究部会

専門工事業「鉄筋工事」に関する技術・技能について

平成211121()

鉄筋加工工場と組立現場の見学

平成211122日(日)

鉄筋工事の研修会と送り手側と受け入れ側との意見交換会


1. 開催概要

RC造・S造施工研究部会は、第1回目の研究会を『「鉄筋工事」に関する技術・技能』をテーマとして、平成211121日〜22日の2日間にわたり大阪市内で実施しました。この研究会は、実際に施工に携わる方や施工管理・工事管理者から、直接現場で学ぶことを通して、教育・訓練の指導能力を高めることを目標としています。 

今回は、「()大阪府建団連」と「()実践教育訓練研究協会」が協力して、若年労働者を送り出す側(職業訓練施設、専門学校、工業高校等)と受け入れ側(専門業者)の相互理解を深める場を設けることを目的として実施しました。 

送り手側は、建築専門工事業(鉄筋工事業)の実態を知ることとし、具体的には、技能・技術面の最新の情報を得ることや受け入れ側が望んでいる人材や能力を把握すること。また、受け入れ側は、今の若者の能力や希望を認識し、実際の教育・訓練がどのように実施されているかを把握し、若者ニーズの理解を深めることとしました。 

全参加者数32名のうち「送り手側」に所属するのは21名で、この内訳は、工業高校2名、職業訓練施設18名、専門学校1名でした。また、実践教育訓練研究協会会員は12名であり、近畿を中心に関東から九州まで多くの参加者を集め実施することができました。

 


2. 実施内容

2.1 見学会(鉄筋組立工事現場および鉄筋加工工場)

 最初の見学先は、大阪府八尾市の、清水建設(株)JR久宝寺駅前商業住宅複合タワー新築工事現場内の正栄工業(株)作業現場で、31階の鉄筋取付け工事現場と先組作業場です。この現場での鉄筋工事ではPC、ハーフPCa、先組工法等の工法が用いられており、各工法やジョイント部の施工法などについて間近に説明を受け、参加者は熱心な質疑応答を通して鉄筋施工技術を学びました。

 

鉄筋工事現場

鉄筋工事現場

 次に、大阪市西淀川区にある(株)関西スチールフォーム鉄筋加工工場を見学しました。この工場は、近畿一円で施工されている多くの建設業者の大型建築工事の鉄筋加工を請け負っています。一般の鉄筋加工のほかネジ鉄筋や高強度鉄筋等について、複数のラインを稼働して加工しています。社長の田中氏に鉄筋加工の流れや品質管理について説明をいただいた後工場内を見学し、材料の受け入れから出荷までの一連の鉄筋加工工程について理解を深めました。

 

鉄筋加工工場

鉄筋加工工場

2.2 鉄筋工事の研修会と送り手側と受け入れ側との意見交換会

 2日目は(社)大阪府建団連の会議室を会場に、まず鉄筋工事の基本事項について、研究部会の杉本より配筋基準や工法に関する講義を行い、これに引き続き送り手側と受け入れ側との意見交換会を開催しました。

 

 意見交換会の参加者は、受入側から、関西鉄筋工業協同組合理事長の田村春男氏、理事の岩田正吾氏、田中勲氏および職長3名の計6名。送り手側は、教育・訓練担当者が16名、特別参加者として国土交通省と建設業振興基金から各1名。進行を小原孝夫氏(大阪府建団連)、杉本誠一(実践研)で約2時間にわたり熱心な意見交換が行われました。

 

 開催冒頭に、関西鉄筋工業協同組合の田村春男理事長から、「サブコンの現業実施者と教育・訓練の実務者が若年労働者育成についての会合を持つのは、関西では今回が初めてです。お互いの理解を深めながらこのような活動が継続することで将来に明るい展望が開かれ、また、今日の研究会を糧に良き人材を育てていただくことを期待します。」と挨拶がありました。

 

田丸春男 氏

田丸春男 氏

 次に受け手側(岩田氏、田中氏)から、鉄筋工事業界の現状についての講演をいただきました。ここでは、鉄筋工事に関する理解を求める取り組みをユーザーに対して積極的に行っていることや、また若年労働者確保の取り組み状況など、鉄筋工事にかかる技術と技能者に関する現状について事例を交え伺うことができました。
岩田正吾 氏

岩田正吾 氏

田中 勲 氏

田中 勲 氏

 そして全体討議は、職長さんも交えて送り手側と受け入側とのディスカッション形式で行われました。ここでは受け入側が行っている若手の技能者育成の方法や修行の体系を伺うとともに、現場で求められる能力など、送り手側にとっても今後の技能者・技術者の教育に向け、有意義な意見交換をすることができました。

 

全体討議の様子

全体討議の様子

職長の皆さん

職長の皆さん

 最後に、今後このような会を他職種にも広げ交流を深めていくことが確認され、第1回研究会は閉会となりました。

(滋賀能開短大/杉本、九州能開大/磯野)


※ 2日間にわたって行われました本研究部会の詳しい内容は、2010年9月発行の実践教育ジャーナルVol. 25,No. 3 をご覧ください。

 

 

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