2004年9月30日に、特別講演「技能を技術に革新〜文明と文化〜」として、株式会社ラポージェ代表取締役社長の白石末子氏にご講演いただきました。
白石氏と和裁との出会いは、1970(昭和49)年に肺がんの手術を受け、自由に動かなくなった右手のリハビリを兼ねて和裁を習ったのが始まりである。高岡の和裁学校(職業訓練校)を卒業後、「ラポージェ」の前身となる「白石きもの」を開業した。きものの縫う工程を徹底分析し、1ライン15人による流れ作業を実現することで知識も技能も持たない人材の雇用、生産性の向上を可能にしました。
この頃は、多くの製造業が次々と中国に進出した時代である。きものの仕立ても中国やベトナムに進出しようとしていた。白石先生も商社から海外進出を打診されたが、「日本民族の民族衣装きものは、日本で縫うべきですよ、和裁技術を継承するべきですよ」と断った。これが「きもの用ミシン」を開発するきっかけとなった。従来、「きもの」の仕立ては一人の職人が一枚一枚縫い、その技能・技術習得のために4年から5年の年月が必要でした。 |
|
その後、「和裁を日本中に広め、日本の技術者を育てたい」という一貫した信念が、機械技術を導入した「きもの専用ミシン」の開発を成功に導きました。和裁専用ミシン「卑弥呼」は、和裁の経験のない人でも、1ヶ月の研修で女性用袷のきものの仕立てを習得できるようになりました。
常に夢を持ち続け、その夢の実現に挑戦してこられ、さらに、絶えずプラス思考で人生を切り拓いてこられた白石先生の豊かな経験と深い見識による講演に、深い感動をおぼえました。 |
企業展示会場での和裁専用ミシン
「卑弥呼」の実演風景 |
(なお、実践ジャーナルに実践教育研究発表会北陸大会について掲載されますので、ご参照ください) |
|
|
|
(港湾職業能力開発短期大学校神戸校 小田切 稔) |