建築・デザイン系

第4回 建築系ひとづくりフォーラム

2000年9月29日〜30日、山形県山形市の「山形県立産業技術短期大学校」にて、第4回 建築系ひとづくりフォーラムが開催されました。


地域に密着した
実践的な「設備技術者」を育成

− 実験実習を独自工夫し、技能五輪にも挑む「山形県立産業技術短期大学校」 −

 

■2000実践発表会と連動、東京から企業関係者も参加

 第4回フォーラムは、「2000年度実践教育研究発表会」と連動し、第2日・第3日目に一般参加者を交えた、開かれたフォーラムとして開催した。

 遠方にもかかわらず、住友林業建築技術専門校長、東京建築カレッジ副理事長、熊本職業訓練短期大学校参事、住宅生産団体連合会事業部長、大崎建工社長など、第1回以来深い関心をお持ちの多様な企業教育関係者が、わざわざ東京から参加された。山形地方で独自に「ものづくり・ひとづくり」に励まれる方々との触れあい、様々な伝統建築の見学、宿での肌を接しての討議など、遙か「みちのく」での有意義な交流を行った。

 2日目午後から、山形県立短大を会場としたポスターセッション、企業展示、建築系教育訓練施設紹介展等の見学の後、同校・建築環境システム科を視察し、夜は近くの「かみのやま温泉」に一泊し、ゆっくりした懇親機会を持った。

 翌3日目は、研究討議「施工系人材の育成方法―地方における試み」を行い、地元で活躍される3名(千歳栄、近藤鉄雄、高山泰美の各氏)の特別講演に参加した(講演記録は、ジャーナル誌2001/5号参照)。午後解散後は、近代建築の宝庫といわれる山形市内の建物(旧・県庁舎、旧・済生館等)や、著名な「山寺」近くの千歳栄氏が手がけられた「芭蕉記念館」等の見学を融資で行い、さまざまな建築文化財を堪能した。

・日時:

2000/9/29(金)〜30(土)、1泊2日
(2000年度・実践教育研究発表会と連動開催)

・会場:

「山形県立産業技術短期大学校/建築環境システム科」(山形市松栄2-2-1)
http://www.yamagata-cit.ac.jp/

・参加者:

23名(一般参加8名、系会員15名)

・施設側:

6名


■全国的にも珍しい「建築設備」教育を独自展開

 会場の「山形県立産業技術短期大学校」は、1993年、全国初の県立職業能力開発短期大学校として開校された。「山形テクノポリス構想」の一環として、敷地は県工業技術センターや県立技術専門工などが併設される先端的工業団地の一角にあり、うらやましいキャンパス環境にある。

 短大開設にあたっては、綿密な地元ニーズ調査の一方、産学連携を積極的に推進するために、支援にむけた「教育研究振興会」(地元企業260社参加)が組織され、学生募集、実習や就職の受け入れ、非常勤講師の派遣、在職者向け講座や共同研究など、多面的な協力関係が築かれている。

 「建築環境システム科」は、既に県立訓練施設に「配管科」等の技能養成はあったが、地元では設備の設計・計画が出来る実践技術者へのニーズが高かったことから、その上位教育を行うために開設されたという。

 このため、同科では、建築の基礎分野の他、給排水空調設備、電気設備等に関する実験実習科目の拡充を図り、指導陣も各分野毎のキャリアある方々で構成され、充実した教育が展開されている。

一方、「配管」部門で技能五輪にも参加(99国際大会出場)

 

全国の状況、位置づけ。

■産学複合の広大なキャンパス、充実した教育環境設備

■各設備分野別に独自工夫の実験実習設備

■現場技能も重視、「技能五輪」に向け猛練習中

■卒業生は地元各社へ、OBフォロー講座も拡充

●山形短大の構内風景(敷地は山形テクノポリスの一角に位置し恵まれた環境にある。左手:山形短大新館実習棟、右手:県工業技術センター)
●独自に工夫された空調設備実験室(空調ダクトシステムが透明板で可視化され、各種の計測実験が可能。右手:担当の堤先生) ●建築設備の総合実習用家屋(暖冷房・空調、給排水・給湯・ガス、電気・照明等の各種機器・配管が所狭しと取り付けられる)
●技能五輪「配管」部門出場にむけ、練習中の学生達(川上側の設備理論や技術管理だけでなく、有志は教員指導のもと技能練習にも取り組む) ●見学後の活発な質疑(左より建築環境システム科:江川、堤、佐藤の各先生。設備授業の教え方や学生の実態に鋭い質問が飛ぶ)
●給排水衛生設備の総合実験実習室(天井に各種実習用の配管類、周囲には各種計測装置や衛生器具類が並ぶ) ●衛生器具の取り付け模型(配管方法が上下左右からわかる) ●冷凍空調のシミュレーション装置(その他、独自工夫の実験装置類が並ぶ)
●1999年度の技能五輪全国大会「配管」部門の製作課題(この年、学生がみごと全国優勝し、カナダ大会に出場) ●宿泊先での懇親会(東京から参加の内藤社長、水戸校長、守屋副理事長等をまじえ、業界問題を話し合う ●有名な「山寺」をバックに、エクスカーション参加の有志(最終日、山形市街や芭蕉記念館を見学)

(秋山恒夫:フォーラム企画担当)

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