建築・デザイン系 |
1999年11月27日、東京建築カレッジにて第2回 建築系ひとづくりフォーラムが開催されました。 |
大都会の真ん中で、働きながら学ぶ
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■着実な一歩を踏み出した「ひとづくりフォーラム」 |
建築・デザイン系専門部会では、第2回「建築系ひとづくりフォーラム」を、1999年11月末、木造技能後継者の育成をめざす「東京建築カレッジ」にて開催した。 今回の集いでは、大規模職人組合が運営する「認定短大校」の訓練の実態、運営上の苦労や工夫、製作品、生徒の様子などをつぶさに見聞できた。 今回は、年末という事情もあり、参加者は若干少なめだったが、計2回の開催を通し、思った以上の反響があり、着実に一歩を踏み出したように思われた。 特に、業界の人材育成に関心を持たれる、企業、団体、実務者、教育・研究者、学生、マスコミなど、多岐多様な方々の積極的参加があり、既存の制度の垣根を越えた交流への渇望とフォーラムへの期待を実感した。 |
■第2回フォーラムの概要 |
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(他に、月刊誌『建築の技術・施工』編集部の取材あり、2000/1号に掲載。別掲記事参照)(以下敬称略)
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■たくましく育ちつつある、若者後継者たち |
当校は、当ジャーナル誌でも度々紹介して来たように、都下12万人の大規模職人組合が、1995年に開設した2年制の認定短大校である(労働組合立では全国初)。 大きな特色として、「大都会の町場工務店の後継者を育成」、「平日は現場で働きながら、週末に学ぶ」、「木造の基礎技能から、現代技術まで幅広い習得をめざす」、「在職組合員のために、夜間・土日開講の技術研修センターを併設」、「NHK〈天うらら〉ドラマにも制作協力」など、関連各界から注目を集めている。 今回の見学では、開校4年目を迎え、軌道に乗って来た実習の様子や各種製作品、建物設備等を見学した。 研修生は、既に働いていることが前提で、年齢も入職したての18歳から、途中転職した人、現場経験10年以上など多様な幅があり、職種も、「大工」以外に、「鉄骨」「内装」「設備」など多岐多様で、女性も数名がんばっている。 いずれも、「町場」(住宅工事業等)の零細事業主たちから派遣された若者たち(約半分は工務店2世)で、各自の様々な教育や入職事情、親や雇用主の様々な経営事情を抱え、恵まれない条件下で苦労しながらも、生きた技術の習得をめざす、パワーあふれる若者たちである。 今や現場では、電動工具やプレカットが幅をきかす上に、多忙で先輩からも指導してもらえないため、この学校では、まず「大工技術」の基礎を徹底的に仕込むと同時に、2階建ての「実習棟」を建てることを2年間の柱に置き、必要な技術要素はその都度教える工夫を行っている。 また、業界展望は決して明るくないだけに、今後を乗り切るため、「設計」「プレゼン」「CAD」「構造」「積算」など、幅広い現代技術の習得をめざし、「経営」等の独立心を養うことも心がけている。 実態としては、能力的にも志向的にも、町場の様々な若者が集まっているだけに、「生活指導」や「しつけ」、「自主性」の育成も大きな教育テーマだという。 |
■ベテランの徹底指導、「林業実習」等の新しい試み |
当日、2年生は、地下実習場で、「木造施工実習」の最終段階として、「規矩術」による「棒隅木」の墨付け、刻み作業が行われていた。狭い室内だが、ベテラン指導員のもと、真剣な表情で取り組む熱気に圧倒された。 1年生は、3階教室で、「プレゼン演習」として「住宅模型」を製作中。和やかな雰囲気で進められ、参加した日本建築専門学校の菊池理事長から、激励の挨拶をいただいた。 建物は、都心駅近くの地下1階地上3階建て。非常に狭いビル形式(狭いため、通常の施工実習は、別の「練馬実習場」で行う)だが、ところ狭しとパネルや実習製作品が並べられ、普段の授業の様子がよく伝わって来た。 作品では、「プレゼン」「製図」「CAD」、各種の「構造模型」作品、「卒業製作」の独自作品などが並べられ、意欲的な授業の一端が伺われた。 また、飯能への「林業実習」、商店街と一体となった「カレッジ祭」、冬の「長野研修旅行」、修了前の「奈良研修旅行」など、林業や地域、伝統建築などへも幅広い関心を育てようとの、新しい試みも行われているという。 |
■鋭い問題提起があった、藤澤校長のミニ講演 |
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見学後行われた藤澤校長のミニ講演では、一転し、「技能者育成をとりまく深刻な問題」の観点から、以下のような鋭い問題提起があった。
短い時間ではあったが、多様な観点から貴重な指摘があり、これらはフォーラム参加各位も常々感じている大きな問題でもあり、今後討議を深めたいところである。 |
■この学校は、職業訓練の原点を見る思い |
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しめくくりに、参加者全員から感想・意見を伺った。その後行われた懇親会でも、大いに交流を深めた。 参加者の主な感想・意見は、以下の通り。
その他、運営方法や取り上げたいテーマ等の点についても、多くの方からご意見や提案を頂いた。 今後は、さらに多様な「教育訓練現場」の見学を継続する一方、関係者間の日常的な「交流ネット」を構築し、教育訓練上の関心ある問題を討議したり、成果を世に問うような動きが必要と思われた。 今回の開催に際し、カレッジ関係者には多数出席いただき、大変ご協力をいただいた。紙上を借りて厚くお礼申し上げます。 |
■今後の開催予定 |
この企画は、会員外にも広く開かれています。お誘いあわせの上、ふるってのご参加をお待ちしてします。 ●第3回:2000/7/7,8(金・土、1泊付き) 「日本建築専門学校」(菊池建設兜齣フの木造系の4年 制専門学校)+「富士教育訓練センター」(躯体サブコン業向けの共同訓練施設)(何れも静岡県富士宮市) ●第4回:2000/9/29(金)・30(土) 「山形県立産業技術短期大学校」(山形市、県立短大校) (「2000実践教育研究発表会」と連動) ●第5回:2000/11月頃 「職業能力開発総合大学校・東京校」(東京都小平市) ●第6回:2001/2月頃 「大崎建設高等職業訓練校」(東京都江戸川区、躯体サブコンの社内訓練校) |
●多彩な参加者による第2回フォーラムの討議風景 | ●2年生の「木造施工実習」(「規矩術」実習) | ●藤間指導員による「棒隅木」製作の徹底指導 |
●真剣な表情で取り組む、1年生の「住宅模型実習」 | ●研修生の各種製作品(渡辺教務部長による説明) | ●藤澤校長のミニ講演 |
●NHK朝TV小説「天うらら」(1998)カレッジが制作協力 | ||
秋山恒夫(常任幹事、フォーラム企画担当) |