建築・デザイン系

第1回 建築系ひとづくりフォーラム

1999年7月24日、住友林業建築技術専門校にて第1回 建築系ひとづくりフォーラムが開催されました。


「建築系ひとづくりフォーラム」の活動を
いよいよ開始

− 第1回の催しを、住友林業建築技術専門校にて開催 −

■「草の根」レベルの交流の輪を広げよう

 建築・デザイン系専門部会では、「教育訓練研究分科会」活動の一環として、かねてから企画準備を進めていた「建築系ひとづくりフォーラム」の活動を、いよいよ開始し、第1回の集いを、去る1999年7月24日(土)、千葉県四街道市にある「住友林業建築技術専門校」にて開催した。

 この企画は、今後日本の建築分野の社会ニーズに対応した人材を考えて行くには、従来の活動の枠組みを越え、広く社会の多様な「ものづくり・ひとづくり」関係者との、既成の制度の壁を乗り越えた「草の根」レベルのネットの輪を広げ、自由な交流討議の中から次なる方向を探る必要がある、との会員相互の認識から出発したものである。

 このため、当フォーラムは、会員のみならず、同様な問題意識や関心を持たれる社会の広い方々によびかけ、オープンな継続開催を予定している。

 具体的には、全国の特色ある教育訓練施設や企業等を会場とした「巡回開催」の方式を取り、見学や討議、教育ノウハウ等の相互研究を考えている。

 社会に広く呼びかけるため、当系独自の対外PR案内先のデータベース化をすすめ、今回は、多様な教育訓練機関、団体、マスコミ、関係者等、約230箇所へ事前案内した。


■北海道から九州まで、多彩な参加者が集う

 初の企画には、予想を超える反響があり、地域は、北は北海道から南は九州まで、職種分野は、各種の認定訓練施設、県や事業団の公共訓練施設、大学、企業、職人、設計者、研究所など、また、内訳では会員よりも外部参加の方が多い、40名を越える多彩な方々から申し込みを頂いた。

 例えば、認定施設では、北海道の「土屋ホーム」、埼玉県の「中央住宅」や「近藤建設」、「埼玉土建組合」(認定短大計画中)、千葉県の「新日軽組合」、東京の「東京土建組合」、静岡県の「富士教育訓練センター」、滋賀県の「ナショナル住宅産業」、熊本県の「熊本市職業訓練センター」など、多様な関係者が個人的立場から参加された。

 また、公共施設では、「山形県立最北高等技術専門校」、「東京都立足立技術専門校」などの指導員、大学からは、「芝浦工業大」の十代田知三教授と学生2名、職人や設計者では、国際技能五輪で活躍された「和田工務店」の和田三郎・智一氏親子、宮大工と寺社設計の「大森建築設計事務所」の大森健司氏夫妻、調査研究所では技能者問題に詳しい「オプコード研究所」、さらに事業団施設からは、各「ポリテクカレッジ」や「ポリテクセンター」、「職能総合大」等の指導員12名や、「職能総合大東京校」の学生5名など、まさに多士済々の面々となった。


■同校の意欲的で、オープンな姿勢に感銘

 主催側からは、水戸潔校長はじめ秋葉勝男訓練部長ほか主任指導員2名、修了生1名が対応された。

 当日は、午後、同校の大教室に集合。実践研事務局から若林栄一氏、当企画担当の秋山から、フォーラムの企画趣旨など、開会の挨拶を行った。続いて、会場提供側から同校の概要説明がなされた。

 その後、参加者は2グループに分かれ、屋内実習場で行われている普通訓練生の「木造実習」風景、さらに、その2階で行われている「国際技能五輪」(本年11月カナダで開催)の出場予定者(昨年全国優勝された同校修了生の梶田章君)への特訓風景、また、広い屋外実習場で行われている木造住宅の「棟上げ実習」風景(外部受託訓練や社員体験訓練を行う)を見学した。

 さらに、討議会場となった大教室には、訓練生の課題図面や模型、実習風景写真などが展示され、1年間の訓練内容をつぶさに見ることができた。


■熱心で、鋭い質疑が続く

 当専門部会の賛助会員でもあり、フォーラムの趣旨に賛同され、第1回目の会場提供を申し出られた同校の水戸校長は、競争相手でもある同業者の参加も快く引き受けられ、施設や教育技法のノウハウの全てを公開された。

 このような催しは業界でも企業秘密といえる部分もあり、なかなか実現しにくい画期的な出来事とも言える。

 このため、見学後の討議では、同校への質問が集中し、指導方法の詳細や安全への配慮、運営経費の実態、修了後の就業率や仕事内容、諸資格への対応、訓練生への生活指導など、鋭い質疑が続いたが、校側からは、臆することなく一つ一つ丁寧に回答されていたのが印象的であった。

 これら見学全体を通し、他社に先んじて、若き技能者育成に意欲的に力を注がれる取り組み姿勢と、外部にも進んで公開しようとの同校のオープンな姿勢に、会場一同、深い感銘と今後への刺激を受けたようだ。


■「今後もぜひ継続開催してほしい」

 参加者による自己紹介では、全国から参集された各校関係者から、各教育現場の率直な現状が紹介された。

 この中で、「このような企画は画期的な意義がある。ぜひ継続して開催してほしい」、「2回目もぜひ呼んでほしい」、「ぜひ、私共の訓練施設も見に来て下さい」など、さまざまな要望や意見が続いた。

 その背景には、各現場で日頃若い訓練生の育成や学生の教育に取り組みながらも、垣根を越えて、悩みを率直に相談しあったりノウハウを刺激しあうような場が少ない現状が伺われ、このフォーラムへの期待感の大きさがひしひしと感じられた。


■特色ある訓練現場を「巡回開催」する方式で

 当専門部会から提案の、当フォーラムの活動趣旨や内容、方法についても、討議を行った。フォーラムの「企画趣旨」を別紙に掲げるが、年数回、特色ある教育現場や生産現場に協力依頼し、「巡回開催」する方針が確認され、再会を期して散会した。

 その後、東千葉駅前で行われた懇親会にも学生を含め多くの方々が参加され、初の出会いの方々とも親睦を深め、第1回の集いを盛会のうちに終わることができた。

 紙面をお借りし、お忙しい中、全国各地からはるばるご参加いただいた各位と、会場を提供いただいた同校関係者に厚くお礼申し上げます。


■次回は、11月に「東京建築カレッジ」にて

 今後の開催は、以下を予定している。

 第2回……1999年11月27日(土)午後、「東京建築カレッジ」(認定短大、池袋)

 第3回……2000年5月頃、静岡県富士宮市にて

     (「富士教育訓練センター」、「日本建築専門学校」など、1泊付)

 このフォーラムは、会員以外の方にも広く開かれていますので、各位の近辺にもお勧め頂き、関心ある方々のふるってのご参加をお待ちしています。


●北海道から九州まで、全国から参集された多彩な参加者によって活発な討議が行われました。

●質疑に丁寧に応答される水戸潔校長(右)と秋葉芳男訓練部長

●屋外での住友林業・新入営業社員への木造体験実習(棒隅木をチームで製作中)

●訓練生による商品住宅の木構造模型(縮尺1/20、千葉県能開協会賞受賞)

●「国際技能五輪」出場にむけ特訓中の梶田章君(98技能五輪全国優勝、本年11月カナダ大会に出場予定)

●梶田章君の練習製作品

   秋山恒夫(常任幹事、フォーラム企画担当)

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