●2● JISSEN NEWS 2003.5 No.139

 発表会の会場となる小山市には、栃木県指定の5品目の伝統工芸品があります。
 これらの伝統工芸品は、日常生活で用いられているものおよび伝統的な材料・技術や技法により手作業で作られています。以下に、手作りの栃木県指定の伝統工芸品を紹介します。
 これらの伝統工芸品は、日常生活で用いられているもの、そして伝統的な材料を使い、伝統的な技術や技法によって手作業で作られたものがあります。

 @結城紬
重要無形文化財の「結城紬」は、日本最古の高級絹織物です。
 生産地は栃木・茨城両県におよびます。栃木県は小山市の東部と鬼怒川に面した地域で生産されています。昔から桑村とか絹村と呼ばれた養蚕の盛んな地域で盛んで、古くから絹織物の生産が行われていました。
 結城紬は全工程を手作業で行い、真綿を手指で引いた糸を用い、手括りで絣しばりをした後、染色し、地機で織り上げます。そしてできあがった反物は独特の渋みと洒落た風味を漂わせます。

*小島家代表の内田正典氏は、9/27(土)の機械系、電気・電子・情報系 シンポジウム「ものづくりの技とこころ」のパネラーとして、参加していただきます。
 A本場結城紬織機(地機)(じばた)
 結城紬を織り上げるために必要なものは、上質の真綿と腕のよい織り子と丈夫で使いやすい機織り機です。結城紬で使われる地機の構造は、千数百年も昔から変わることはありません。
 しかし、結城紬の生産の後継者の減少や、織機は通常30年以上使えるということから需要が少なく、地機作りをしている人は年々減ってきています。
 B間々田紐(ままだひも)
 奈良時代の中国伝来の組紐が、鎌倉時代以降、刀の下げ緒や兜の紐として愛用されるようになったものです。
 間々田紐は歴史と伝統を受け継いだ江戸系の組紐に、戦後間々田の渡辺浅市が創意工夫を加え創案したものです。草木染めの落ち着いた色合いが魅力的で、丹念に組みあげて作られています。使い心地もよく、帯締めや羽織ひもに最適で、東京や京都で人気があります。
 C家紋帳箪笥・ダルマ戸棚(かもんちょうたんす・だるまとだな)
 家紋帳箪笥は、帳場(旅館や商店の勘定場)で使われていた箪笥で、扉に家紋が二つ入っています。
 ダルマ戸棚(写真)の発祥はわかりませんが、ダルマを飾るためまたは職人がダルマを作る過程で使った戸棚という説と、戸棚の形が上下の真ん中でくびれているのがダルマに似ているからという説があります。手に馴染む使いやすさと美しい木目と素朴な香りの箪笥は、使う人や箪笥がおいてある家に安らぎを運んでくれます。

*春山木工の春山信行氏は、9/27(土)の機械系、電気・電子・情報系 シンポジウム「ものづくりの技とこころ」のパネラーとして、参加していただきます。
 D指物(さしもの)
 机や戸棚、箪笥などの家具を製造する職人を指物師と呼びます。
 指物の「指す」というのは、物差しを使うという意味です。
 物差し(定規)などを使って、様々な木材を複雑に組み合わせ、いろいろな家具を作り上げます。指物師の真剣な眼差しが作品に注がれ、このようなものができあがるのです。